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AGAの治療薬の種類と副作用や評判
このページの監修者のご紹介

医療法人翠奏会
Dクリニック大阪 メンズ(旧脇坂クリニック大阪)
事務長 安田 孝志(やすだ たかし)
経歴
髪に関する美容業界を経て、1999年にクリニックに入職。「AGAはお医者さんで治せる」ことがまだ世の中にあまり知られていない頃から発毛治療に事務長として携わってきた、日本における発毛治療の変遷を知るエキスパート。
関西において男性の発毛治療を行っているDクリニック大阪 メンズ(旧脇坂クリニック大阪)と、分院の女性専門クリニック・脇坂ウィメンズヘルスクリニック大阪の事務長として活躍中。新人指導や接遇改善、業務改善等に対しリーダーシップを発揮している。
AGAは薬で治るのでしょうか?
AGA(androgenetic alopecia)とは「男性型脱毛症」のこと。男性ホルモンが原因で引き起こされる脱毛です。
複合的な原因から起きる「脱毛」や、ホルモンバランスの乱れなど様々な要因が絡み合う女性の「薄毛」などと異なり、抜け毛のメカニズムがはっきりしているため、薬による治療方法も確立されています。
つまり、適切な薬を使えば、AGAは改善が大いに期待できるのです。
AGA治療でよく用いられる薬は複数存在します。
内服薬もあれば外用薬もあり、それぞれにAGA症状を改善させるメカニズムが少し異なります。
では、それぞれにどのような薬があり、どのような働きによってAGA症状を改善させる効果が期待できるのでしょうか。
AGA発症のメカニズムを紐解きながらご説明しましょう。
AGAの治療薬、その効果のメカニズムとは
ヘアサイクル「成長期」「退行期」「休止期」
AGAは、髪の毛が生え変わる「ヘアサイクル」が、男性ホルモンによって乱れてしまうことで発症します。
髪の毛は、男性であれば3〜5年、女性は4〜6年ほど「成長期」が持続します。成長期の間、毛母細胞は活発に細胞分裂を行い、髪の毛はしっかりと太く長く成長していきます。
しかし、成長期が終わると、毛母細胞はその活動が徐々に衰え始める「退行期」に入ります。
数週間の退行期を経て、毛母細胞が完全に活動を休止する「休止期」へ。
そして、新たに生えてきた毛に押し出されるようにして、古い毛は抜け落ち、また新たな髪の毛の成長期に入っていきます。
これが正常なヘアサイクルです。
AGAを引き起こす男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」
ところが、AGAを発症すると、成長期がどんどん短くなってしまいます。
そのため、髪の毛は十分に成長せず、生えても細い毛のまま抜け落ちていってしまうのです。
この原因となっているのが、「ジヒドロテストステロン(DHT)」という強力な男性ホルモンです。
DHTは、男性ホルモンの「テストステロン」が5αリダクターゼという酵素と結合することによって産生されてしまいます。
5αリダクターゼは、主に生え際や頭頂部の毛乳頭に多く存在するため、AGAを発症すると生え際や頭頂部から薄毛が進んでいくのです。
これがAGAのメカニズムです。
ちなみに、男性ホルモンが原因の脱毛症ではありますが、その発症のリスクを高めるのは、遺伝的要素以外にも生活習慣など多岐にわたります。
さて、AGA発症のメカニズムが理解できると、AGA治療に効果的な薬のメカニズムも見えてきます。
治療薬には、「抜け毛の進行を止める」ことと「育毛を促す」こと、この2つの働きがあります。
<AGAの薬の2つの働き>
「抜け毛の進行を止める」
5αリダクターゼをブロックすることで原因物質のDHTの生成を抑制して抜け毛の進行を止める。
「育毛を促す」
毛母細胞に直接働きかけて活性化し、細胞分裂を盛んにすることで育毛を促進する。
この2つがAGA治療で薬が果たす主な役割なのです。
では、それぞれにどのような薬があるのかを見てみましょう。
AGAに効果的な薬、それぞれの有効成分とは
AGAの薬には、内服薬と外用薬があります。
内服薬の中で代表的なのが「プロペシア」「ザガーロ」です。
プロペシアは、MSD社が開発したもの、ザガーロはGSK社が開発した薬で、どちらも日本で販売されています。
それぞれの薬に含まれている有効成分とその効果のメカニズムは以下の通りです。
・フィナステリド
「プロペシア」の有効成分です。
もともとは前立腺肥大症治療に使われる薬の成分として開発されました。
AGAの発症の原因となる男性ホルモンのジヒドロテストステロン(DHT)が生成されるのを抑制する働きがあり、それによって抜け毛の進行を止める効果が期待できます。
・デュタステリド
「ザガーロ」の主成分です。こちらも前立腺肥大症治療のために開発された薬の成分で、作用のメカニズムはフィナステリドと同様、5αリダクターゼをブロックすることでAGAの原因となるDHTの生成を抑制する働きがあります。
フィナステリドとデュタステリドは同じような作用をしますが、フィナステリドがブロックするのは5αリダクターゼⅡ型、デュタステリドはⅠ型とⅡ型の両方をブロックします。
医師による診断や検査などを行い、自分に合うタイプの薬を選ぶとよいでしょう。
・ミノキシジル
米国ファイザー社が販売している外用薬の発毛剤「ロゲイン」の有効成分です。
日本でおなじみの「メディカルミノキ5」にも、このミノキシジルが配合されています。
これらは外用薬ですが、ミノキシジルを有効成分としたAGAの薬には内服薬もあり、「ミノキシジル・タブレット(ミノタブ)」と呼ばれています。
ミノキシジルは、もともと高血圧症の治療に使われる血管拡張剤として開発された成分ですが、副作用として「多毛」が認められたため、のちにAGAを治療する薬として使われるようになりました。
血管拡張作用と血管新生作用により、毛母細胞と毛乳頭細胞に多くの栄養を送ることで、毛の成長を促します。
また、ミノキシジルは毛乳頭細胞に直接作用し、毛母細胞の育毛・発毛を促すことが分かっています。
つまり、フィナステリドやデュタステリドがDHTの生成を抑制することで抜け毛の進行をストップさせ、ミノキシジルが毛母細胞を活性化することで発毛を促す。
これが薬によるAGA治療の柱となります。
当Dクリニック大阪 メンズ(旧脇坂クリニック大阪)のサイトでも、フィナステリドについてのコラムを掲載しています。ぜひ参考にご一読ください。
進化するAGAの薬、ジェネリックも続々
AGA治療の進歩は、薬と治療法の進化、開発
AGAの薬は、新薬開発業者がしのぎを削って開発を続けてきたものです。
ミノキシジルを主成分とする内服薬・外用薬から、フィナステリドを主成分とするプロペシアなどの内服薬、デュタステリドを主成分とする治療薬ザガーロへと「進化」を続けてきました。
世界中にマーケットがあるからこそ、製薬会社もそれだけ薬を開発するための資源を投入できるのです。
とはいえ、これらの薬でも効果が見られない人が一定の割合で存在するというのもまた事実です。
そこで、新たな治療方法として、「ハーグ(HARG)療法」という毛髪再生医療が試みられています。
幹細胞から特定のタンパクを取りだして頭皮に注入するという手法ですが、これは薬というよりも新しい「治療法」として注目されています(※当院ではハーグ(HARG)療法の取り扱いはありません)。
国内外のジェネリック/海外の薬はどうやって入手する?
一方、薬に関しては、厚労省の認可を受けたジェネリック(後発医薬品)が続々と生まれており、国内製薬会社も数多く販売しています。
(たとえば、プロペシアのジェネリックとしては、「ファイザー」や「サワイ」などがあります。)
それぞれ1錠あたりの値段が異なりますので、クリニックなどで購入する際には医師に相談してください。
あるいは、ネットでの購入も盛んになっています。
特に、海外からの個人輸入などで安価な薬を手に入れる方法もあるようです。
たとえば、ザガーロを販売しているのは英国の巨大製薬会社GSK社ですが、インドをはじめ各国で、同じ成分の薬が安価で販売されています。
しかし、これらの治療薬を個人輸入代行業者などを利用して入手するのは「偽薬、詐欺、違法行為」などのリスクを伴います。
また、人体に影響する医薬品ですので、処方なしに服用することは、決して安全とは言えません。
AGAの薬は、毎日服用する医薬品です。副作用のリスクもきちんと理解した上で、品質の確かなものを適切に服用すべきなのは言うまでもありません。
AGAの薬、副作用のリスクは?
AGAの治療において、薬は目覚ましい効果を発揮しているわけですが、一方で、医薬品である以上、無視できないのは副作用の可能性です。
例えば、高血圧症の治療薬として開発されたミノキシジルは、体毛が濃くなるという「副作用」があったことから、逆転の発想で脱毛治療薬へと転化された歴史があります。では、AGAの薬にはどのような副作用が報告されているでしょうか?
プロペシア・デュタステリドの副作用
・男性機能への影響
プロペシア・デュタステリドの副作用としては勃起不全、性欲減退などが挙げられています。あるいは精子量が少なくなるとの報告もあります。それぞれ、発症率は少ないものですが、そうしたリスクも踏まえた上で服用しましょう。
・肝機能の低下
副作用として、肝機能への影響もわずかながらあるため、処方前に肝機能の状態を検査することもあります。
服用後に肝機能に変化があれば、薬の副作用である可能性があります。継続については、医師と相談して決めましょう。
・女性は特に注意が必要
フィナステリドやデュタステリドは胎児の生殖器に重大な影響を及ぼす可能性が指摘されています。そのため、女性への服用は認められていません。服用しないだけでなく、触れることも避けるべきとされています。家族の中に服用している人がいる場合は、女性や子供が薬に接触しないよう、特に注意が必要です。
また、男性がプロペシアを服用している間は、受精にいたる性交は避けた方がいいとされます。製薬会社では、妊娠の可能性がある場合の性交について「服用を中止してから3カ月以上空けることが推奨される」との注意喚起がなされています。実際に、胎児への影響が報告されているわけではありませんが、その薬効から胎児への影響が懸念されているようです。
また、服用中は献血を避けることが義務づけられています。たとえば、ザガーロの場合、休薬から半年程度は献血や輸血を避けるべきとされています。子どもや肝機能に障害のある人に輸血される可能性をふまえてのことでしょう。(※1)
ミノキシジルの副作用
・ミノキシジル外用薬は主に皮膚症状
ミノキシジルであげられている副作用は、主に皮膚への症状が多く報告されています。
掻痒(そうよう)=かゆみ
紅斑(こうはん)=皮膚が赤くなること
落屑(らくせつ)=フケが出ること
毛包炎、接触皮膚炎、顔面の多毛
(上記参照 日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017 年版」)
また、濃度5%のミノキシジルになると、それ以外の副作用もみられるようになります。
皮膚:頭皮の発疹・発赤、かゆみ、かぶれ、ふけ、使用部位の熱感等
精神神経系:頭痛、気が遠くなる、めまい
循環器:胸の痛み、心拍が速くなる
代謝系:原因のわからない急激な体重増加、手足のむくみ
(上記参照 メディカルミノキ5「添付文書」)
ミノキシジルはもともと高血圧症治療に使われていた薬ですので、降圧剤としての効果をもっています。低血圧に起因する副作用があるので、これらの症状が見られた場合は、使用を中止し、医師、薬剤師へ相談するようにしましょう。
また、高血圧症の治療薬を服用している人や、もともと低血圧の人、65歳以上の高齢者の方の他、心臓や腎臓に障害のある人も、使用する前に、医師や薬剤師への相談をしてください。
AGA治療薬も薬剤ですので、効果効能があれば、その裏側には副作用もあります。
使用する際は医師の診察を受け、適切な処方を受けて服用するようにしましょう。
(※1 参考|日本赤十字社 「採血基準・問診事項」「問診票についての解説」)
AGA治療、薬の効果を可能な限り引き出すには?
「抜け毛」や「薄毛」に悩む日本人は、男女を含めて全人口の3割に及ぶと言われています。その原因はさまざまありますが、AGAの場合は、男性ホルモンによって毛母細胞の働きが抑制されてしまうことが原因ですから、効果的な薬を使うことで改善できる可能性が高い脱毛症だと言えるでしょう。
AGAの薬は種類も、入手方法もさまざま。
薬1つとっても内服薬や外用薬など、その種類は多く、ジェネリックなども含めて、無理なく効果的な治療を継続していくためにも、自分に合った薬を賢く選択する必要があります。
しかし、今や情報も薬も玉石混淆の状態になっているといえます。誤った情報に振り回されずに、安全で安心な薬を入手し、正しい治療法を選択していくことが、AGA治療を効果的に進めていくためには、もっとも大切です。
品質の保証のない個人輸入代行業者を利用する入手方法や、自己判断で服用する薬や用量を決める行為には、さまざまなリスクの面があるためおすすめできる選択ではありません。
氾濫する情報の中から正しい方法を探し出すには
自分の脱毛症の原因が何なのかを見極め、適切な診断と処方を受けることも大切です。頭髪治療専門クリニックであれば、無料の相談窓口を設けているところも多くあります。AGAや薄毛が気になるのであれば、そういったクリニックの窓口を積極的に相談してはどうでしょうか。
当Dクリニック大阪 メンズ(旧脇坂クリニック大阪)でもAGA・発毛治療のための無料の相談窓口を設けています。
よろしければお気軽にご利用ください。
<まとめ>
AGAとその薬、発毛のメカニズムについてお分かりいただけましたでしょうか。
AGAの薬にはさまざまな種類があります。
個人輸入代行業者を利用し、用法用量も自己判断で服用するのは、やめておいた方が無難でしょう。
AGA治療は長く継続して行うものです。薬選びも入手方法も安心できる方法を選ぶようにしましょう。
AGA治療に効果的な薬についてのコラムは以上です。
注:記事の内容は、効能効果または安全性を保証するものではありません。
サイトの情報を利用し判断・行動する場合は、医師や薬剤師等のしかるべき資格を有する専門家にご相談し、ご自身の責任の上で行ってください。